石井さんの今日要

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Webをつくる人、いまむかし

ザックリこんな記事(読了目安:5分)

  • ひとことで「Webをつくる人」と言っても
  • Web制作にも様々な職種があります
  • Web制作は「職能」なのか「職務」なのか
  • 認識の歪みが起こすこと
  • Webには「双方の都合の共有」がもっと必要

今回は「Webをつくる人」のクライアントサイドと制作サイドのニュアンスの歪みと都合共有の大切さのお話しです。

ひとことで「Webをつくる」と言っても

ITからICTへと発達してきて、今やWebサイトは様々な用途や端末で活用されるようになっています。場合によっては用途も特化しています。Gmailやoffice365などがわかりやすい例だと思いますが、Webアプリケーション化しているものも少なくありません。むしろこれからは、ますますその方向と言えるでしょう。

このようにWebで出来ることが多岐にわたるようになりました。よって10年前のイメージの象徴である、ホームページビルダーを頑張ってこねくり回せば"企業のホームページ"が出来る時代とは既にかけ離れています。
この変化により、企業の経営者やWeb担当者が抱いている「ホームページをつくる人はWebデザイナー」という定義も実質的には成り立たなくなっています。

Web制作にも様々な職種があります

前述の通り、世の中一般的にザックリ言うと「ホームページをつくる人はWebデザイナー」と言うことになってしまいます。これは「病院のお医者さん」、「家を建てる大工さん」というのとほとんど同義語と言えるのではないでしょうか。

病院にはお医者さんと言っても、内科医もいれば外科医もいます。そして小児科医も看護士も…その他たくさんの専門があります。
家を建てる大工さんと言っても、ひとりで建てられるわけではありません。住設屋もいれば左官屋もいます。さらには壁紙屋や電気工事屋、鳶職人まで多くの人が携わります。

それと同じように昨今では、Webサイトをつくるためにも様々な職種が細分化されています。そしてそれぞれのスペシャリストが存在します。

Web制作に携わる簡単な職種(一例)

  • Webデザイナー 主にWebサイトのデザインを担当
  • マークアップエンジニア デザイナーの作成したデザインをHTMLにコーディングする部分を担当
  • フロントエンドエンジニア Webサイト内での動きに関する部分のプログラムを担当
  • サーバーサイドエンジニア Webサイト内で連携されるデータベースやサーバー側のプログラムと保守管理を担当
  • フラッシャー Flashによるコンテンツのデザイン/制作を担当
  • UXデザイナー/IA Webサイト内で閲覧者が体験する部分[ユーザー体験(UX)]のデザイン・情報設計を担当
  • プロデューサー クライアントとの橋渡し役、サイトの企画などを担当
  • クリエイティブディレクター/アートディレクター コンテンツや実際の成果物の監理・監修を担当
  • プロジェクトマネージャー プロジェクトの進捗を管理するなど、人的理ソールのコントロールを担当
  • コピーライター Webサイト内の記事を担当
  • イラストレーター Webサイト内のイラストを担当
  • プロカメラマン/フォトグラファー Webサイト内の写真を担当

このように、簡単に書き並べただけでも、Web制作にも簡単に10を越える職種が挙げられます。今や「Webデザイナー」のひとことでは表現できないのです。企業でWebに関わる立場の方にはこのことを知っていただきたいと思います。
御社の担当者がどの専門性が高いのか、どんなメンバー構成なのかという視点で観ていただくことができるようになります。それは上手な経営判断の情報に繋がることでしょう。

Web制作は「職務」的なのか「職能」的なのか

職種例の通りであれば、イマドキのWebサイト制作を行うためには10名以上にメンバーが携わらなければ、時代相応で結果が残せるものが出来上がらないことになります。即ち、Web制作会社(職務者の集団)でなければ十分な制作はできないことになってしまいます。
端的に答えを言うならば、「職務分化している」と言うことになります。

とはいえ、すべての制作者がWeb制作会社に所属しているというわけではありません。フリーランスのWeb制作者の方もいらっしゃいます。しかしその人たちもフリーランサーで多岐にわたる職務をひとりでこなすことは、多くの場合困難と言えます。例外的にスーパーマンみたいな全部こなしてしまう方もいらっしゃいますが、多くの場合が、自分の持ち合わせる「職能域」を活かして、異なる「職能域」を持つフリーランスまたは、制作会社と共同で制作することが主流となっています。

このようにケースバイケースでパターンはいくつか発生しますが、10年前よりは職能的な要素よりも職務的な要素が強くなってきていると思われます。

実際どう変わってくるのか?

さてここで、仮に、個人商店が店舗サイトを依頼したとして、3ヶ月プロジェクトでサイト制作を依頼した場合の制作費用を考えてみましょう。

Web制作会社に依頼した場合を単純に考えれば、少なくとも10人分の3ヶ月の費用が発生することになります。その分当然ではありますが、商店主の想像や脳内インフラを遙かに超えたエンタープライズなものは仕上がることでしょう。相応に費用面では7桁を下回ることはあり得ないでしょう。むしろ8桁に近いのではないでしょうか。 この記事で対象となっている個人商店主や中小企業にとっては色んな意味でオーバースペックかも知れません。

また逆にフリーランスのWeb制作者への依頼だった場合はどうでしょうか。
体制は多くの場合1〜3人程度の少人数での対応となるでしょう。そのため規模相応の予算への対応もしやすいといえます。さらには意思疎通の高さを得ることと柔軟な仕様変更対応など小回りは効くことでしょう。その反面、分化してスペシャリストを大勢集めていない分のクオリティ差は否めません。これは職能レベルがどうであるか以前の話しとして、物量的にマンパワーの問題発生します。

このようにそれぞれの形態によってメリットデメリットは発生します。
しかしいずれにしても、今日では10年前のように「Webデザイナーひとりに任せて制作をする」ということは少なくなりつつあるといます。

認識の歪みが起こすこと

Web制作サイドの観点からは、細分化・専門化が日進月歩で進んでいることは自分達自身のことなので当たり前になっていることでしょう。相対してクライアントサイドからすれば、制作の都合であって特に知っていなくても良いことかもしれません。

しかしその歪みが「頼めば何でもで出来あかがってくる≠専門外なので完全な対応が出来ない」という歪みを生んでしまうのです。

具体的にはこんな感じでしょうか。
コーディングが専門のマークアップエンジニアに対してイラストを制作する仕事がまわってきたとします。多くの場合、畑違いで手詰まりを起こします。仮に専門外でも描けたとして、クライアントの満足度的にはハッピーではないかも知れません。
別の対処として、受けた依頼を何とかこなそうと予算や制作側の都合を黙ったまますすめたとします。そうしてイラストレーターに依頼をしたとすれば、それだけ持ち出しが発生することにもなるでしょう。それもまた制作者がハッピーではない結果と言えます。

ちょっと極端な例ではありましたが、こういったアンハッピーを回避するためには、クライアントにも都合を知ってもらうことが大切だと言えます。

どんなことにでも言えますが、共通認識を持っているかいないか、それだけで歪みは発生しにくくなります。

Webには「双方の都合の共有」がもっと必要

今回は「Webをつくる人」を例にして制作の都合を、知る、知らない、で発生する歪みの例を紹介してきました。
一般常識的に考えれば「なぜクライアントが制作側の都合など気にする必要があるのか?」と言うことになると思います。その道理は極めて正しいです。しかしWeb制作〜運営においてはクライアントも時と場合によってはに制作サイドの一員であることを理解していただきたいのです。

少なくとも情報源のコンテンツとなるのはクライアントのあなた自身なのです。

よって、Web制作〜運営には、他の媒体にくらべて高い一体性が必要となるのです。 そう考えたいただければ「都合の共有」の重要性はご理解いただけることではないでしょうか。

Web制作の最大理想は、制作サイドとクライアントサイドが一体化した「チーム」であることだと思います。
とは言えそれは既製条件や諸事情により、そんなに簡単なことではないでしょう。 そんな中でも、可能な限り「双方の都合の共有」ができるように変えていく必要があるでしょう。
それにより今後の円滑なWeb制作〜運営に有効となっていくのではないでしょうか。