誰のメディアか?
誰のメディアか?
ザックリこんな記事(読了目安:5分)
- 経営者の皆さん、ITとICTが混同していませんか?
- 「やっといて」ではまかり通るのもではないですよ。
- ネットはコミュニケーションツールであるという意識を持ってください。
相反する無意識
先日もこんな出来事がありました。
とある異業種交流会でのこと。最近、多くの後発組社長さんや経営層クラスの40代後半から50代後半の方がスマートフォンを手にされる時期に入っている感を受ける機会が多くあります。
お話しの中でこう仰いるかたが何人もいらっしゃいました。
「インターネットの可能性は日々の業務の中で強く感じている!だから活用をしていきたい!」
そう仰る反面、こんなニュアンスの雑談もたくさん聞かれました。
「数ヶ月前にスマートフォンに変えたんだが、アプリとかそういうのよくわからないから一切さわってないよ。そういうのとか、別に必要ないでしょ。Facebook とかも聞いてる限りではめんどくさいだけみたいだし。従業員にやらせればいいんだだろうし。」
こういった話はよくあります。
そして、これがいまからネット展開を考えている多くの経営者層の思考だと言うことです。
そして、これを読んだWebに関わっている人たちの多くは、なんと愚直な話だと脱力を覚えたと思います。
今回はこの双方の感覚の隅っこにスポットを当ててみたいと思います。
ITをつかうのではなくICTにアプローチする
先進的ないわゆるIT企業や、その重要性にいち早く気づき既に取り入れた企業は、ネット上で何らかの結果を残しています。
そして、それに倣ってとりあえずマネをすればなんか結果が出るだろうと、営業方針のひとつとしてインターネット、す
なわち「とりあえずホームページ」という発想の企業はまだまだこれからたくさん出てくることでしょう。
そしてそう言う企業の多くの経営者は従来通り従業員の担当者を決め、業者を選定し任せてしまうと言う発想だと思います。
Cがない発想では成功しない
私はこのスタンスですすめた企業がなんの結果も残さないケースをいくつも知っています。そして、芳しい結果を得られていない事象もコンサルティングをするなかで幾度と経験してきています。
大きな発想のミスのひとつとして「IT担当者」という認識があると思います。やらなければいけないことは、「IT的な技術対応」ではなく、「ICT的な顧客との関係づくり」なのです。
Cの部分すなわち、コミュニケーションが欠落しています。そして、そう言う発想の経営者の多くは、未だに自動販売機的なニュアンスで捉えていらっしゃる場合が多いと思います。
その象徴として多く発せられる単語のひとつに「無人」や「24時間365日いつでも」があります。
発想が投資信託になってしまっているこの状態はとてもよくないことだと思います。
「やっといて」で済む問題ではない
特にソーシャルメディア(Facebookやtwitter)が全盛の今日において、自社商品の紹介なり出来事の紹介なりを業者や従業員にだけ任せきりにして、経営者がノータッチでいるととはまかり通らない時代だと断言できます。
そのとき、そのひとが発言するから意味がある。
少し飛躍した例かも知れませんが、まずは携帯電話業界を例に見て見ましょう。
iPhone が登場した当時から率先してつtwitterでのつぶやきや、Facebookへ投稿を主導してきた孫社長率いるソフトバンクと、その当時「スマホなど必要が無い」と、デバイスの存在を軽視していたしていた他の電話会社との勢いの差は、現時点でどうでしょうか。
また、通販業界においては、Amazonなどの台頭により老舗の通販会社ですら倒産する時代です。そんななかで飛躍を続けている企業にジャパネットTAKATAがあります。
ソフトバンクも、ジャパネットTAKATAも、名前を聞いてすぐに社長の顔がイメージできることでしょう。こういった企業に共通することは、トップが率先して必要なタイミングですぐにメディアの最前線に立っているということです。
放置せずに向き合う姿勢が必要
こういう話をすると彼らは特別であるかのような反論をたくさんいただくことでしょう。
しかしこれは、企業規模がどうという問題ではないと思います。
むしろ中小零細企業であればもっと小回りが利くはずです。
なのにやろうとしないだけなのです。
「技術的な枝葉のことは知らん」「細かい使い方などいちいち学習してるのは経営者のやることではない。」などの発想で放置されることがとても多いのです。
わからなくてもよいです。経営判断をしてください。
こういう話をしていると、ネット至上のように伝わってしまうかも知れません。ネットだって企業にとっては経営の一部です。それが至上になる必要もないですし、解らなくて大丈夫だと思います。
そうであありますが、その部分の経営判断(方向づけ)は放棄してはいけないと思います。
たとえば、ジャパネットTAKATAは自前で放送できるからやれるんだよと思われるかも知れません。
しかし、スタートは一切そう言うノウハウもスキルを持ったスタッフもないところからだったという話はかなり有名だと思います。しかし、放送というアプローチで展開していくという方向づけがあったことは間違いありません。そして試行錯誤をしてきて、いまがあるのだと思います。
端的にどうかで図ってはダメ。
この話が無駄と思う経営者はだいたいの場合が、スピード感と効率化にだけ着眼が言っていると思います。
いわゆる「端的にどうか」とうだけです。
その端的にどうかを持ち合わせていればそのやり方で問題ないのです。そしてそれをネットにアプローチすればよいので既に結果も出ていることでしょう。しかし多くの場合はそうではないと思います。
そしてこの端的さとごっちゃになって、本来するべき経営判断すらも放棄されてしまってはいないでしょうか。
誰かに意見を聞いて経営方針の判断や「方向づけ」をすることはどんなジャンルであろうと経営上不可欠のはずです。でありながら、IT分やになると途端にそれすらも放棄している経営者はとても多いと感じます。
経営判断、営業方針なくして、
どこにどんな顧客接点を設けるのでしょう?
どんな顧客応対ができるのでしょう?
どんな関係づくりをしていくのでしょう?
コミュニケーションづくり = ブランディング 。 中小企業のブランディング = 社長のブランディング
これからICTなプロジェクトを進めていく企業やその経営者のみなさんには、まずWebはIT的なハコではなく、コミュニケーションツールであるという認識を持ってほしいと思います。
そして、Web制作会社なり専門家の方々とまずは、どんな顧客との関係を創りあげるのかを話し合うところ(即ちブランディング)から始めてください。
そしてその方向性のコミットをしてください。さらには社長自らその関係づくりに参加してください。
Web上で事業を展開するためにはカッコイイサイトではなくこちらの方が格段に大切なことだと言えます。
今回はどんなポスト、どんな役職であっても、他人事では済まされないICTの話にスポットをあててみました。
「自分のこと、私のサイト=私の事業」と捉える意識をもって、自らもコミュニケーションに参加することが成功の鍵なのではないでしょうか。