石井さんの今日要

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経営者は真の”パソコン”を持っていたことにやっと気づいた件

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私は普段「ICTコンサルタント」と称して活動をしています。 そんな活動のなかで、ここしばらくの間、主に何社かの経営者さんにマンツーマン状態でリテラシ教育をすすめています。その経過や結果として、彼らにはIT化やその概念が、実は不要なのではないかという考えに至っています。 今回はそんな頭のなかのお話しです。(約8分な記事:約3,600文字)

「ICTコンサルタント」って何?

“IT”コンサルタント と言う役職は徐々に広まりを魅せつつあります。しかしそれとは異なります。IT に加えてPR の分野(≒ ICT)をより重点的にアプローチすることを意図しています。そして次の項目を要望される方と共に解決していくひととしています。

  • 初導的なIT環境の整備
  • クラウドコンピューティングベースな環境の導入(または切替)
  • ITやICTに関するリテラシ教育
  • ビジネスのためのWeb や紙面のデザインにおいて何が良しとされるのかを共に考える
  • それらを活用してどのようにコミュニケーションを深めていくかを共に推進する

まずは経営者さんたちのバックグラウンドから

ICTコンサルティングの考え方に共感を頂き、今お世話になっている何名(何社)かの経営者さんたちは平均して次のようなバックグラウンドの方たちです。 * 50代中盤から60前ぐらいの世代 * 1-2名の秘書を抱えていらっしゃいる * 規模も典型的な中小企業のサイズ * 主要連絡方法はFAX * そして未だにメールは共有で社内でひとつだけ * プロバイダメールフル活用(独自ドメイン等とはまだまだ無縁)

こういった環境下で、何かのイノベーションが起きればという期待に対して、IT 化やそこに則ったPR という手法でお手伝いをしています。

やはり経営者、理解はすこぶる早いが…

さすがにこれまで何期と乗り越えてきた経営者ということもあり、道理や概念の理解はとても早い傾向にあります。しかし世代的なものなのか、共通して次のことが苦手です。

  • ログインID/PW の重要性と概念(何回やっても覚えられない)
  • タイピングやスムーズにタップすること
  • SNSなどにある共有共感の次元でなんとなく漂う概念(答えを求めない画面経由の交流)

これらは道理としてはなんとなく理解できたとしても、受け入れることは困難なようです。

IT/ICT の”お作法”はやっぱり受け入れにくい

とはいえこれらの項目は、現状のIT/ICT の根幹となる”お作法”の部分であります。そこに対して強い苦手意識を持ってしまうことが、彼らのステップアップを妨げる要因のようです。

1年ぐらいすると方向性が出てくる

1年近くも奮闘していただくと、たいていの場合は、基礎的なクラウドサービス利用から基本的なSNS の活用までは何とかこなせるようになっていただけています。 少なからず、ここまで到達したらルーティンワーク化してくる部分も多くなるため、経営者さんたちは、この手法が自社のビジネスに必要かどうかを判断し始めるフェーズがやってきます。

結論の多くは「不要なもの」に落ち着く

その多くが「別になくてもよい」という結論に落ち着いてきます。または、「ここの部分にはIT的なアプローチが有効で、あとは工数が増える」など、その段階での的確な意志決定を返せるようになっていかれます。

これが残念ということではなく

私の定義している「ICTコンサルティング」のひとつのゴール例としては次のように考えています。 ”ITやイマドキのネットを介したPR手法が解らないまま、経営判断に手をこまねくことから脱却できること” なので、彼らは1年程度の実践学習を経て行くうちにそれを達成できる知識を得たことになるのです。だから私は、これはひとつの「卒業」と考えていて、残念なことであるとは思っていないのです。むしろすばらしいことだと思っています。

主要因は「めんどくさい」

意志決定の話を聞いていくなかで、あともう少し使い切ってもらえたら、もっとよい結果が得られる話しもよくあります。登山の8合目で挫折するような話しに近いものを感じずにはいられないこともあります。 そしてその多くの理由が総じて「めんどくさい」なのです。

  • 自分が何かしたいことをするために、いちいちログインをする理由がわからない
  • 必要か必要ではないかを自身で判断してメールを選別して読む理由がわからない
  • 選別したメールを読むために細かい文字と眩しい画面に接するのが嫌
  • シンプルに承認だけしたいのに何クリックもしないといけない理由がわからない

経営者の仕事ではない部分の強制

たしかにこれらの言い分は間違っていないと最近感じるようになって来ました。 彼らは経営者なのです。だから、瞬時の判断をすることが主たる仕事なのです。よってその前にあえてひとつ障壁となる事柄を置かなければいけないことは「めんどくさい」以外の何物でもないのです。

これまでも不自由なく仕事はこなしてきている

そして何よりも、IT導入をしていなくても、彼らはそのパフォーマンスを発揮してきています。私は「一体なぜそれができているのか?」そんな、あたり前なことを問い直していきました。その結論はこう考えています。 “彼らは長年にわたって自分の会社というプラットフォームを構築してきた。そして、その自分の業務判断がしやすい環境やスタッフを揃えてきた。” 至極あたり前のような結論ですが、ここを見直すところに至りました。

プラットフォームの作り方の違い

パソコンはパーソナルコンピューターの略語なのはよく知られています。パソコンの普及により、企業の青年層から下の世代は業務の効率化や多角化などをより効率的に行うことができるようになってきました。 しかし、それより前からビジネスの第一線に立っていた(今回初頭で定義した)経営者の世代は別の方法で自分のビジネスプラットフォームを構築してきています。 それが何かと言えば自分の会社その物なのです。 よって、IT化推進で従業員がセルフマネジメントと効率化のためにPCを活用したり、スマホを活用していくのと同じことを企業構築としてやってきていると考えるべきなのかも知れません。

パソコンとは”パーソナルコンシェルジュ”である

そんな経営者さんたちにとっては、”パソコンとは自分の会社”なのだと思うようになりました。FAXと言う名の電子メール同等なもが届きます。その精査やアポイントメント、スケジュールをマネジメントしてくれる、スパムフィルターやカレンダー役の秘書がいます。専門知識の調べ物の必要があれば、検索に頼らなくても、専門部署に調査をさせればよいわけです。 そういった、自分専用のコンシェルジュ群を抱えていると考えるべきなのだと、最近私は感じるようになって来ました。

IT化は何も新しいことではなかった

そして逆説的に気付かされたことが、IT化は何も新しいことではなかったということです。単に企業体が長年欠けて構築していることを、PCやIT端末をコンシェルジュとして各個人が迎え入れただけだったのです。 あたりまえのことなのかも知れませんが、ITバブル時から社会に出始めた私にとっては、全く持てていない概念でした。

「IT格差」って何だろう

そして巷では、デジタル至上的な風潮があります。私もそんななかで仕事をしてきました。そしてアナログベースなプラットフォームとの差を「IT格差」などと呼ぶこともあります。しかしこれは今の考え方に至ってからは、この単語は何か的外れな語だと思うようになってきました。

それぞれが”世界観のあるシステム”だと思う

何よりも大切なことは、FAXや、いわゆるアナログベースの各企業体というプラットフォームも、PCをはじめとしたIT端末ベースのプラットフォームも”それぞれに尊重されなければならない”ということだと思います。 あえて無理矢理トレンドに乗っかったプラットフォーム改編や必然性のないデジタル化、アナログ化の双方へのシフトは必要ないと考えるようになりました。

だからシフトが難しい

数日前に読んだIT Proの「トップはなぜIT部門を軽んじるのか」にもこのようにありました。 "システム移行や再構築の本当の課題は「何を作るか」ではなく、「どう移行するのか」なのです。" 偶然にもこの背景を考えられるような経験をここ数年詰んできていました。 言い換えてみるとIT導入とは、ある種の異文化交流なのだと思います。その辺りをうまく考えながら、今後もICTコンサルタントとしての活動を進めていきたいと感じています。

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