石井さんの今日要

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IT設備投資の感覚と考え方のちがい

ザックリこんな記事

  • 御社のIT機材どれくらいの頻度で更新していますか?
  • 経営者には新しく、ICT技術者には古い「3年ぐらい」のあや
  • それはドックイヤーと言う考え方があるんですよ
  • 消耗品として考えてください。「IT機材は生モノ」なんですよ。
  • 「財」だけではなく、時間コストとモチベーションも加味して考えましょう。
  • IT機材は設備投資ではなく、情報戦略投資なんですよ。
  • 頭のインフラを整えるのもICT従事者の仕事だと認知してください。

御社のIT機材どれくらいの頻度で更新していますか?

WebやIT案件で中小企業のクライアントと接しているとクライアントのPCが未だにWindws98や初期の頃のXP機で、CPUがCeleronPentium III だったりという事態に遭遇することもあります。(ちょっとネタがマニアックすぎたかも知れませんね。判らないひとはスルーしてくださいw)
仮にそこまでではなかったとしても、平均的に3〜4年前モデルという状況が一般的では無いでしょうか。

PCへのニュアンスの隔たり

実はここにICT従事者と中小零細企業の経営者・財務担当者との大きなニュアンスギャップが存在しているのです。そこで今回は双方が知っておくべき、その辺りのお話しをしていきます。(今回対象としているのは、基幹業務システム用PCを除いた、一般端末に対してノ話です。)

意外とよくある「まだ3年ぐらい」

よく、経営決裁権をお持ちの方(だいたい社長さんクラス)とお話ししている際にハードの話になると出てくるフレーズです。
「まだ買ってから3年ぐらいだから新しいもんだ」
この曲面に直面した場合、多くのICT従事者は「えぇぇちょっと古くないか?キツイな〜」と感じるのではないでしょうか。とはいえだいたいそんな話はしずらいものです。

ドックイヤーと言う考え方

では、この差は一体どこから来ているのでしょうか。そのひとつの考え方に、ドックイヤーという考え方があります。

ドックイヤーとは、人間と犬では犬の方が7倍成長が早いというところに由来して、IT業界の技術革新もそれくらいのスピードであることを表現した言葉です。
ザックリ言うと、1年で7年分の技術革新があると言うことになります。個人的には、7年までは言い過ぎ感を感じているので、4半期ごとに技術革新される(1年で4年分の技術革新)と換算して見ています。
一般的にICT従事者はこの概念を把握していると思います。
よって、「まだ3年ぐらい」は、少なく見積もっても、12年使った機材という意味合いになるのです。

ドックイヤーという前提があるため、前3年とこれから革新していく2,3年先を見据えた設計や開発をしていくことは、膨大な年限の幅を考えることが強いられてしまうのです。

会計上の都合

とは言え、企業サイドの経営面・会計面から見れば「そんな都合知ったことではない」と言うのが正しいでしょう。ちなみに、PCを減価償却する場合に定められている耐用年数は4年です。なので「まだ3年」は決しておかしくはないのです。
とは言え、最近のハードは安価なものが増えて、6桁を下回る機材もたくさんあります。よって、そもそも減価償却することも少なくなってきているでしょう。

さらには、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」という時限措置もあり、30万円未満は単年一括で精算できるため、よっぽど中小企業ではIT機材は減価償却の対象になることはなくなってきていると思います。
わたしも専ら個人商店や、小規模な事務所なクライアントに対しては、消耗品で計上することを薦めています。

IT機材は消耗品発想で

消耗品と位置づけることができると、冒頭の双方の立場のギャップを埋めることも簡単になってきます。ドックイヤー発想でめまぐるしく進化する状況にも追従しながらも、中・長期消費財(=すなわち負債)を抱えずに、代謝のよいIT環境を実現することが可能になってきます。

「IT機材は生モノ」です

わたしはよく「IT機材は生モノです」という言い方をします。昔のベージュ色の箱形のPCが全盛だった頃は、よくお豆腐に例えてそんな説明をしていました。
「PCはIT豆腐」なのです。開封したその時から腐っていくのです。

時間コストとモチベーションも加味しよう

こう言ってしまうと、特に経営者や会計担当者には、大胆な無駄遣いのように聞こえるかも知れません。実際に「PCを買うために働いてるんじゃない」とご鞭撻いただいたこともあります。しかしこれは、視点が「財」だけに向いているから出てくる発想ではないでしょうか。

ムーアの法則」的に言えば

ムーアの法則=”集積回路上のトランジスタ数は「18か月ごとに倍になる」”という話にも代表されるとおり、それだけの高速化が図られていけば、日々の仕事に費やす時間コストは当然削減されます。
最近で言えば、エコブームに乗って、省エネ効果も期待できるでしょう。

仕事のリズムはPCの性能がつくると言っても過言では無い

さらに、仕事にはリズムというものがあるのは誰しも体験して知っていると思います。 そのリズムでスムーズに仕事がこなせるときに、最良のパフォーマンスが発揮できます。
かりに、ひとつ動作をするごとに、時計が廻ってしまうPCだとしたらどうでしょう?待たされるストレスだけでもイヤなモノです。そこに納期や期限のプレッシャーが加わることなど考えたくもないですよね。確実に胃潰瘍の種になります。もちろんモチベーションもガタ落ちです。

このように、「PCが新しいこと」というのは、ただ単にITミーハーなことではなく、最善の経営策・財務策なのです。

IT機材は設備投資ではなく、情報戦略投資と考える

ここまで述べてきたとおり、多くの経営者はPCは耐久消費財と位置づけています。しかしそれがどれほど自社の経営にボトルネックであるかはなんとなくご理解いただけたのではないかと思います。

経営資源と言われたときに「ヒト・モノ・カネ」と言っていてはイマドキ笑われてしまいます。「ヒト・モノ・カネ・情報」であることは広く認知されています。
しかし、そう言いながらも、IT機材ははいまだにモノに所属した戦略投資をしている中小企業がたくさんあります。

頭のインフラを整えるのもICT従事者の仕事

その要因として「活用の仕方が判らない」がボトルネックなのではないでしょうか。
その部分をカバーするのがICTに従事しているひとたちです。今はまだ、Web制作やパソコンレッスンといった表層だけのお付き合いの関係が一般的かもしれません。
しかし、そこからはじめて、ハードだけではなく、脳みそのインフラ整備のお手伝いもしていくべきなのです。

そして、IT/ICTは「情報戦略」であることを理解した上で、お互いに接していけるように成長していけることが大切なのです。